LinkedInはメディアになり得るのか?
2/17のエントリーにも書いたLinkedIn。今度はオンラインのビデオ学習サイトを買収して、さらに機能拡張をしてきた訳だけど、一体どこに向かうのか?
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潜在層へのアプローチ
さてLinkedInを(転職)人材を掘り起こすプラットフォームとして考えた場合に転職を考えているユーザーを集める必要があるのだけど、一般的なマーケティングを進めていくなかで、顕在層へのアプローチというのは競合関係によってリーチするコストは上がり続ける。その昔コストが低いと言われたリスティング広告でも、競合が競ってキーワードを入札すればコストは上がり続ける訳であって、気がつくと一般的なメディア広告のコストと変わらなくなる事は十分あり得る。
そのため恒久的な顧客(LinkedIn登録ユーザー)獲得のためには潜在層の掘り起こしや育成(ナーチャリング)を推進して、獲得単価の安いユーザーの囲い込み(そもそも母数の増加)が必要。それは、まだ転職を考えていない層にアプローチできるプラットフォームの構築であって、そこがLinkedInの目指すところか。
いまはまだ転職のためのSNSなの?と思われかねないLinkedInであっても、これがビジネスメディアとして成立すれば、そこを就業時間中に訪れるユーザーを増やす事が可能。それを怠ってしまうと、就業中の閲覧に限らずアカウントを持つこと自体が勤務先から禁止されかねないリスクもある。
いまメディア化していくLinkedInの形をみていると、人材市場における転職プラットフォーム的な立ち位置から、ビジネスパーソンのキャリアデベロップメントのプラットフォームに変化しつつある。
キャリアデベロップメントというのは、転職の事ではなくて、自分のキャリアに役立つ知識やスキルを身に着けること。ビジネスパーソン必読のメディアになった上で、そこを訪れるユーザー(転職潜在層)に対して、リクルーティングを掛けるのはありだろう。
人材市場における、このアプローチそのものは別に新しいものではなくて、何十年も前に技術系の雑誌で潜在層に向けた人材広告は出していたので同じことの繰り返しなんだけど、雑誌等のトラディショナルモデルとの大きな違いは、先天的にメディアとして作り上げた訪問理由のはっきりしているプラットフォームに対して従来と関係のないファンクションを取り込んで行くのではなくて、それぞれが別のプラットフォームとして存在する中で、親和性の強いものが合わさって、より強いプラットフォームを構築していくモデル。
LinkedInの現状の主なファンクションを考えると下記のようなものか?
1) スキルやヒューマンリソースのデータベース化(LinkedIn本来の機能)
2) プレゼンテーションの共有(Slideshare)
3) プロフェッショナルによる事例や知識のブログ化(インフルエンサーやPublisher Platform)
ここにビデオによる教育プラットフォームが加わるという訳で、だいぶ機能が拡充されてきた感がある。
※Publisher Platformの日本語説明文はあまりイケていない。” 論説投稿 ”なんて書かれたら、誰も投稿しないだろうにw。ローンチ当初リンクトイン・ジャパンではブログと呼んでいたが・・・・。
この結果、LinkedInが後天的にメディアになっていく。なんとなくGolf Digest Onlineがいろいろなサービス追加でメディア化したイメージに近い?(ゴルフ場の予約サービスにEC機能が追加されて、それにコンテンツが増えた事によってメディアとして広告ビジネスを展開した)
さて、次はどんなファンクションが取り込まれるのか?