令和に思うこと
やっぱり日本人は宗教的なんだなと思う
日本研究科家の目から見る天皇とは?
宗教とそれに対峙する価値観(科学)との境目
電子書籍の崩壊
電子書籍の罠
コンテンツの死
この手の記事を見るたびにテレビ、というかその周辺の人達は学ばないなぁ〜と思ってしまう。視聴率なんてものはコンテンツの価値とは別なのに。
CM枠という観点で見ればリアルタイム視聴こそが目指すところなのだろうけど、今どき録画をして見るのは当たり前の話。
本来的にはコンテンツの価値というのは時間に囚われる必要は無くて、良いコンテンツは制作者(或いは配信者)の意図を超えてユーザーに消費されるもの。それを無理にコントロールしようとする行為は、本来コンテンツが持つ力を無駄にしてしまう。
先日のラスベガス訪問時に見かけたバットマン(オリジナル)のスロットマシーンなんていうのは典型で、60年台中盤に米国で放映されたテレビシリーズのキャラクターがいまだに愛されマネタイズしているのだ。
日本のコンテンツも、もっと放し飼いにしないとアーカイブの底に埋もれてしまう。
必ずしもすべてのコンテンツが不自由な訳ではない。例えばアニメのキャラクターたちは放送時間という枠を飛び出して価値を生み続けているから。しかし、ことテレビドラマとなると放送時間という枠に囚われてしまう。
いと悲し。
阿波踊りと大塚家具とIR法案
元々、ギャンブルには全く縁のない私。ただ最近、韓国のカジノ系カンファレンスの主催者と話をしていたので、色々とリサーチをしてみた。
今回のIR実施法案の可決までの過程において日本の社会にありがちな論点違いの議論が続いていて、これも大塚家具や阿波踊りの構造と一緒なのだなと。
IR実施法案は正しく議論されていない?
先の国会で成立したIR実施法案ではあるが、話されていたのはカジノ法案としての側面からギャンブル依存症についての議論ばかりであり、本質的なIRビジネスとしてのフィージビリティの議論が全くなされていない。
国会を中心にここ数年間議論されて来たのは、
「アトランティックシティにように失敗したらどうするか?」
「ギャンブル依存症が増えるのではないか?」
「どうなったら失敗するのか?」
ルールは大事、ギャンブル依存症は防がなくちゃいけない、マネーローンダリングも防止しなくてはいけない。だけど、失敗の議論をするのは時間の無駄でしかない。
大事なことはひとつ。どうやって成功させるのか?
いくつかの課題が挙げられているが、実はそれよりも先に大きな問題がある。
そもそもインテグレーテッドリゾートの運営が日本資本に手に負えるか?である。事実として、IR法案の目玉としてはカジノが合法化されることであり、それによって日本に本格的な統合リゾートが開設されるという話。では、そこで「どうやって外貨を稼ぐのか?」「サステナブルなエコシステムを創るにはどうするのか?」
この問題の本質は、阿波踊り問題だったり大塚家具問題に共通する縦割り構造に見られる部分最適化の優先である。インテグレーテッドリゾートは、リゾート内における宿泊部門、レストラン部門、そしてカジノ部門の横串のコラボレーションに加え、地域を含めた全体最適化無しには実施不可能。
成功事例であるラスベガスを見れば、はるか昔からリゾート内での全体最適化は当たり前で、ラスベガスに飛んでいるエアラインを含めた最適化(同程度の飛行距離であればラスベガス便は航空運賃が安い)までが行われている。
ラスベガスのビジネスモデルの凄さというのは、もはやカジノではない。その部分を理解する必要がある。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/29985/00000000/7-3.pdf
大阪府のIRに関するレポート資料であるが、注目すべきは24〜25ページ目にあるゲーム外(ギャンブル以外)の収益。
ラスベガスにおけるIRでは、ゲーム以外の収益が90年代中期より5割を超える水準に近づき、2015年時点では6割以上がギャンブル以外からの収入になっているということ。
かつて米国においてカジノリゾートとして反映した街にはラスベガスやアトランティックシティーがあるが、ラスベガスが今の形でラスベガスが発展したのは、カジノ以外の娯楽をリゾート全体の仕組みに統合がうまくいったからであり、そしてその流れに乗れなかったアトランティックシティーは衰退した。アトランティックシティの衰退の理由は諸説語られているが、大都市近接型のIRというのが一つの理由であることは確かな筈。
日本を含む東アジアの今後の動き
今年9月にソウルで開催される予定であったKorea Gaming Plus Showが会場の建設遅延のために延期となった。ちょうどIR実施法案可決後ということで、日本から多くのホテル、カジノ機器事業者、投資機関などが訪問することが期待されていたが、とりあえずはお預け。
こちらは来年に向けての日本企業の誘致とともに、日本国内における開催ができないかを主催者と協議してみたい案件。
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全体最適化が徹底されるカジノリゾートのモデル
グローバルイベントを支える会場にあるべきホテルの姿については、欧米にはいくつもあるのだが、誰でも知っているラスベガスの例を紹介。米国の主要都市から国内線でラスベガスに飛ぶ場合、同距離のフライトよりも料金が安く設定されている。ホテルも同様である。それは何故か?
そもそもラスベガスを訪問する旅行者は大半がカジノを訪れる前提で、なんらかの形でお金を落としてくれることになっている。そのため、カジノが協力して航空券代を安く設定できるようになっている。その値段設定によって、より多くの訪問者を集めれば、全体の売上が上がることは統計的に証明されている。
逆に、明らかにカジノでお金を使わない層ばかりが訪問するとすれば、航空券もホテル代も上昇する。実際に1979〜2003年までラスベガスで開催されていたCOMDEXの期間中は通常期よりホテル代は2倍以上の設定だった。COMDEXの参加者は、あまりにも仕事熱心で毎晩ネットワーキングパーティーに参加でカジノへは行かない。95年にCOMDEXを訪れた際には、カジノが半分くらいは開店休業状態でフロアの半分はクローズになっていた。
2003年より米NBCで放映されたLas Vegasというドラマシリーズがある。ラスベガスのカジノホテルであるモンテシートを舞台に、セキュリティチームの活躍を中心に展開する物語。コメディでありサスペンスであるこのドラマでは、ホテル、カジノ、レストランといったリゾート内の各ビジネスユニットがいかにして利益をあげていくかが描写されている。
米国でも屈指のリゾートであるラスベガスはコンベンションシティーとしても有名だが、このビジネスモデルは全体最適化を徹底している。リゾートの利益最大化のために、各部門のマネージャーの権限は最適化されていて、カジノに大金を落とす顧客からは部屋代、食事代も飛行機代も取らない。週末に数千万をカジノに落とす顧客から部屋代を取ることなんて全くホテルの利益にならなくて、それよりも全てをタダにした上で、リピーターとなってカジノで散財してもらう方がビジネスとしては論理的だから。
全体最適化は日本がグローバルで生き残るための最重要課題
先日どこかで「よそ者にはわからない事情もあるから東京の人には騒がれたくないよね。特にマスコミには何も言われたくないよね」と中の人が言っていたので控えていた阿波踊りの件。
そもそも経営的観点からみれば、集客の多い会場での総踊りを中止して、他の会場に踊り手団体を分散させると言うのは愚行以外の何物でもなく、本来なら一番集客の多い南内町演舞場の会場に注力するのが常道であろうが、それを出来ないのは地域の事情があるのだろうから言及しない。
祭事と言うのは、地元にとってはビジネスの一面を持ちながらもフォークカルチャーそのものであって、それを市政が管理しようと言うのは現実無理。そもそも官への反発心としての祭事と、それを敢えて官が見過ごすことによって市井の感情を逸らすというのが多くの場合においての図式ではないだろうか?
さて今回の徳島市と振興協会の対立を見てて思ったのは、ある意味大塚家具のお家騒動と全く同じロジックにしか見えないということ。
大塚家具は親子喧嘩で「古典的な経営戦略の失敗」に陥った | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン
どちらも共通するのは、日本人の苦手な全体最適化の考え方であり、自分のナワバリと過去の成功手法への拘りが、すべてを阻害する。ここには論理的に正しい判断とかは関係なく、感情がロジックをオーバーライドする。だから変われない、変わらせない、そして周りの新たな環境に飲み込まれる。
元来日本は島国であったため、内輪の争いがあったところで外からの攻めは大陸に比べれば圧倒的に少なかった訳で、中のことだけ見てればどうにかなったのだけど、現代の経済においては、そうもいかない。だから大塚家具は国内外の競合にシェアを奪われる。
逆に全体最適化がうまく行った事例だっていくつもあり、やはりそれらの事例を見ると、個の利益ではなく組織全体の利益を考えた事案はうまく行っているなと。
改めて9年前に書いたエントリーを見てると同じような事例は黒川温泉にもあった。
黒川温泉に出版社再生のヒントを見つけた - Find JAPAN!