電子書籍の崩壊
某出版社から電子書籍の返金の案内が。
以前、一度だけ購入した電子雑誌。購入価格がいくらだったかは憶えてないけど、おそらくプリント版の価格の9割位で850円位か?そして150円の返金の案内が。
果たしてこの返金にいくらのコストが掛かるのか?返金、振込手数料、作業管理費、この事業をたたむのにいくら掛かるのだろうか?これは電子版をプリント版並みの価格で販売しようとしたツケが回ってきたなという感じ。
これ、本来なら欧米並みに電子版はプリント版より遥かに安く設定した上で、サービス廃止時には返金無しで閲読権の中止にしておいたほうが安く済んだなという感じ。
出版業界へのeコマースの影響は大きいわけで、マーケティングコストを考えてもプリント版に限らず電子版も版元が運営していくのは厳しい。
電子書籍の罠
リプリント版というのは編集費も掛からずボロ儲けなモデルであり10年以上前のコミックスの単行本が再販されるのはそこが理由。ましてや電子版なんて印刷すらしない訳なので、これを定価の9割近くで売ると、止められない暴利。それも売れればの話。
欧米の多くの出版社は、電子版はプリント版の数分の一の価格で提供している。その背景は電子版というのはあくまでも閲読する”権利”の提供であって、サービス自体の廃止時にはその権利を放棄する前提のモデルだから。
まあプリント版ですら定期購読であれば1冊単価の4分の1くらいで購読できる(それも郵送込み)環境なので、その辺りについては日本より遥かに全体最適化が進んでいるのではないか?
国内の場合、元々出版業界の闇的なお話として再販価格維持制度とか出版取次による流通なんかがあって、定期刊行物なんていうのは一度発行して流通に乗せてしまえば一時的とはいえ売上が立つ(売れ残りは返本で返金が発生するとは言え)訳で出版社の販売部門にとっては、社内で実績を自慢するためには最高の仕掛け。
以前どこかで読んだ記事で、日本の場合は欧米と比べて1ユーザーあたりの電子書籍の利用額が高いという話だったけど、それも電子版単価が高いせいであって、ユーザー数が多いという話ではなかった気が。そろそろ、雑誌や書籍といったメディアの電子版の流通価格については見直さないと出版社自身が立ち行かない(もうそうなってるかもしれないけど)。