true japan

Its Culture, Business, through a Japanese Marketer's Eye.

個人ブログがメディアにならない理由

いきなりステーキのファンであろうジェネストリーム秋貞氏の愛に溢れたはてぶろエントリーが面白い。このエントリーを例に 個人ブログ(CGM)がメディアになるか?と考えてみた。(多分書いている本人はメディアとは思っていないだろうけど、これを見てメディアと言う人が多いので敢えて取り上げてみた)

ゴールドメンバー向けの黒ウーロンサービス廃止の発表からその撤回まで、ソーシャルの影響力なのか?それとも暴力なのか?

genestream-ceo.hatenablog.com

まあ単純に原価の高騰を理由にサービス内容を変えるということで、仕入れ的に見たら極当たり前の経営判断だとは思うけど、これに対する反応が面白い。

” いきなりステーキがマクドナルドになる7つの理由 ”として、問題点を検証している。一見、理にかなった分析と検証に見えるけど、実はこれって根拠に乏しい憶測であって、別にサンプルをとって調査した訳でもないし、ペッパーステーキに裏取りした訳でもない。

ただ分かることは、憶測であっても個人が公に発言することが出来るので、企業側はそれなりの対応を求めれらることにはなる。

個人ブログがメディアになり得ない理由

いくらでも理由は考え付くけど、今回の場合は下記の2点。まあ秋貞氏もメディアと考えてはいないと思うけど、もしこれが定義上のメディアだった場合の課題は:

1. 個人は裏取りをしない(出来ない)

ソフトドリンクのメニューから黒ウーロン茶だけなくなるのが納得いかない。

「 いやいや、原価率違うんならそもそも価格設定がおかしいでしょ。 」と言ってますが、そもそも仕入れ先が違う商品なので、仕切値次第の問題。なのでおかしな部分は特にないでしょう。

また、多くの会員の目的が黒ウーロン茶のように書いてますが、それも個人的な意見。(まあ私自身も黒ウーロン茶派なのは間違いないが。)

2. 好き過ぎると相手の事情が見えなくなる

今回はいきなりステーキが好き過ぎで感情が入っているので、冷静な判断ができていない。

自分が好きなものを第三者的に書くのは難しいです。

それでも、ブログの影響力は大きいのは事実

はてぶろのエントリーの影響があったかは定かではないが、いきなりステーキはすでにゴールドサービスから黒ウーロンを無くすことを撤回している

genestream-ceo.hatenablog.com

あらためて思うのは、秋貞氏の愛ですね。

日露首脳会談に期待すること:日本のエネルギー安全保障

日露首脳会談の最優先事項は領土か?エネルギーか?

現代ビジネス:

gendai.ismedia.jp

対ロシアの交渉で必ず最初に来るのが領土問題であることは間違いないと思うので日露首脳会談には期待をしたい。 基本的な人権保護のために、旧島民が北方四島へ戻れることは国家として重要な課題。それと同時に、現実の問題として非常に重要なのは日本のエネルギー安全保障。今国会で問題とされた安保法案問題にしても背景にはシーレーン防衛があると思うのが論理的で、これを無視できる程いまの日本は地政学的に安全なポジションにはいないと考えたほうが無難。

 

南シナ海における中国のリスクとロシアからの天然ガス供給

現に南シナ海における中国の埋め立ては 実質的な実効支配を中国にもたらす可能性もあり、そうなれば中東から運ばれてくる原油LNG(液化天然ガス)の航路の安全性は中国次第ということ。いわゆるシーレーン防衛の話。

このリスクをヘッジするためには勿論中国との対話も重要だが、それに加えてエネルギー供給源の多様化が最重要課題。そこでサハリンからの天然ガスのパイプラインの再開に向けての議論に期待をしたい。現在サハリンからLNGの形で輸送されている天然ガスをパイプラインで直接日本に引き込むということ。現在はLNGという高付加価値の商品を購入している訳で、これは非常に大規模な設備と投資を必要とする液化というプロセスが必須であり、さらにはLNGの形になった瞬間に、そのエネルギーがどこへ売られるか?本当に日本に入ってくるのか?というリスクも生まれる(実際には液化施設の開発から買い手の資本が入るので単純ではないが)。

元々、世界の天然ガス流通量の9割近くはパイプラインで輸送されているので、サハリンー関東圏までは約1300キロでありパイプライン設置は極めて現実的な話。

この取り組みが進めば、少なくとも南シナ海におけるシーレーン防衛問題は多少なりとも軽減される。

現在、原油価格が下落傾向にあり、パイプラインによる購入価格的メリットは少ないが、LNGスポット価格高騰時の$16/100万BTUであれば、北米から輸送されるLNGよりもサハリンからのパイプラインの方が25%安くなるという試算もある。原油の低価格も将来的に担保されている訳ではないので、エネルギー供給源の多様化という観点からもロシアとの協議をすすめるタイミングである。

ロシアはリスクヘッジ先として安全なのか?

ここで、リスクヘッジ先としてのロシアが信頼できるかとの懸念も出てくる。パイプラインによる天然ガスの輸入についても、パイプラインを止められたウクライナの事例を取り上げて”脅威”と捉える考え方もあるが、それは杞憂である確立も高い。

なぜなら 国家のGDPの25%をエネルギー輸出に頼るロシアは、顧客である国家に対して侵略的な行動には出られないから。ウクライナについては、元々の衛星国であった事、ガス料金の未払いが続いていた事、による特別対応である側面が大きい。

現在のロシアは、”脅威”ではなくて”可能性”と見る方が正しい。

経産省の藤和彦氏の著書「シェール革命の正体」では、パイプラインの生み出すエコシステムをこのように説明している。

ロシアのパイプライン政策
ロシアという国は、個々の地域が政治・経済の中心地から遠く離れて いる地理的特殊条件にあり、インフラの整備・発展こそがひとつの 統一国家に住むことの利点を保障する そしてパイプライン等の輸送システムを高度に発展させることにより、 ロシアの地理的特殊性を逆に競争力のある長所に転換できる。 

パイプライン

・初期投資は大きいが、操業の安定性、効率性、経済性で有利

・規模の経済性で、鉄道や電気と供に自然独占体を形成 

・ひとたび完成すると「正のフィードバック機能」を有する 

  →追加インフラの建設などによる経済波及 

パイプラインの相互確証抑制効果 

・パイプラインでつながれた国同士での破壊的な闘争が自制的に回避される 

・長距離パイプラインでつながれたBuyer-Sellerは、容易に取引先を変更できない運命共同体となる 

⇒反対にLNGには支配という要素も、協調という要素もない

 

相手が中国であれ誰であれ、要は現時点においての脅威であるか、可能性であるかを見極めることが重要。

将来的には中国とのパートナー関係は必然

南シナ海における中国の活動は明らかに”脅威”である。

ただし、これは現時点においての話。

いまはまだ海外からエネルギー資源を輸入する中国も、将来的にはエネルギーの輸出国になる。いまはまだまだ領土拡大の路線だが、その時には現在のような侵略的行動は控えて来ると想像(希望的観測)できる。ベトナム、フィリピン 他との緊張関係にあるベトナム・フィリピン他とも、がいずれこれらの国々が中国の顧客になった際には態度を変えてくる。

そして現時点で利益が相反するようにみえる日中関係も、シーレーン防衛という観点から見れば、ホルムズ海峡におけるエネルギー安全保障では協調できるはず。 

元々シーレーン防衛では大きな役割を務めた米国が国内資源およびFTA圏内のカナダ、メキシコ、そして南米まで含めると、中東へのエネルギー依存度が下がっており、いずれは米国のシーレーン防衛への貢献は減っていくと思われる。 そうなった時に、湾岸地域から多くの資源を輸入する中国と日本はお互いにシーレーン防衛に協力していく立場にならざるを得ない。

個人的に現政権に対してあまり期待はしていないが、この局面は日本のエネルギー安全保障にとっての大きなチャンス。 2017年のGastech Japanには、日本のエネルギー安全保障の未来が掛かっている。

Sociologyとマーケティング

 

ある大学教授が言っていた。ソシオロジー(社会学)は、ソーシャルサイエンス(社会科学)のなかでも残り物としての存在。経済学、文学、人類学など数値化や文書化しやすいものが社会科学の中から独立したドクトリンを築いていくなか、最後に残った人間の感情と行動と言う、半ば宗教的な価値観に基づく行動を学問として確立していった。

そこにある真理 はパッションとエモーションに基づいた行動そのもであり、  マーケティングに必要な要素が溢れている。マーケティングにロジックは必要。なぜならロジック無しでは、最初から最後まで感覚的なGuess Workになってしまうから。 

実際に世の中でビジネスとして確立されていながら数値化しにくいもの:

 ・ 金型の精度=今でも玄人の触感が大事

・レンズのクオリティ=特定条件の人の目視

・ブランド価値=????

マーケティングは奥が深い。

メディア不在で本物にリーチ出来ない現実:メディテクの時代か?


lrnc.cc

ちょっと長い連休。休み中に本社から来客があるので遠出する予定もないので、久しぶりにモツ煮込みでも作ってみるかと。

前回は失敗だったので、今回こそは満足のいくもの(つまみにも良く、おかずにもなるもの)を作りたいのだけど、意外にいいレシピにあたらない。

一般的にあまり経験値のない料理に挑戦するときは検索する訳なんだけど、どうにも具合が悪い。それなりに腕に覚えがあるだけに、クックパッドの簡単レシピなんて全く美味しいと思わないので。

本来なら”本格的な”というワードを付ければ見つかるはずなのだけど、それが出来なくなるのがネットの功罪。そりゃクックパッドは便利。でも本物を作りたいときのレシピにリーチできない。

実はそんな事に引っかかり続けているのが、下記の3点。

1. もつ煮込み

2. きんとん

3. 大根の味噌漬け

2番のキントンは彼此20年近くは作り続けているので最近はかなり満足度が高いものが出来るけど、それでもいつも新しい方法がないかは模索。でも見つかるのは”簡単”レシピ系ばかり。まあ一番欲しい情報を持っていそうな田舎のオバアチャン層がネットなんて使わないだろうから。

次は大根の味噌漬け。以前、岩手から東北道で帰宅する途中のSAで買った味噌漬けが忘れられないのだけど、これがどこで買ったかが不明。常設店ではなかったので、その後すべてのSAに寄ったけど二度と見つからなかった。

これも、簡単系を中心に、単に味噌に漬け込むものから、沢庵漬を味噌で付け直すものまで色々。ただ今ひとつレシピが解明出来ていない。

本来的にはこれが従来型メディアが得意としていた分野。だけど、いわゆる信頼が置けて、本質をついたメディアというのが埋もれてしまう傾向にあるので、欲しい情報にリーチできていない。

この辺りに対応していくのがメディアテクノロジーの領域に近いかもしれないけど、ここならばまだまだ商域が残されているのかも?

BuzzFeedが自前でコンテンツを作ることを完全に放棄しているという前提で、本物のキュレーターを集めて検証していくのも一つのビジネス。裏が取れていない(或いは取れているのかわからない)情報に対して見識の高いキュレーターが収集していくのであれば、そのプラットフォームはなんらかの価値を生み出せる筈。(まあ、これって本質的なメディアの機能そのものなんだけど)

カルチャーの醸成もマーケティングの役割

Lawrenceの小川さんが書いていた Wheels & Wavesの話は面白い。モーターサイクル版SXSWとは、言いえて妙。

鶏玉子的な話になるけど”カルチャーがあるから人が集まる”のか”人が集まるからカルチャーが出来る”のか? 価値観(ユーザーエクスペリエンス)を提供しないと、人はインスパイアされない。インスパイアされない人はマーケットを形成しない。 日本のモーターカルチャーは衰退するばかり。モータースポーツを含めた趣味の分野も伸ばしていかないといずれは自動車・オートバイ市場が消えてしまう。

 

 

 

日本にはなかなか根付かないモーターカルチャー。若者の免許取得率が低下しているとすれば自動車の販売台数も先は見えている。

1980年には年間237万台を売り上げた国内バイク市場も 2014年には41万6723台 となり、2013年の新車購買者の平均年齢が51歳と燦々たる状況。 

” 都会に住んでいれば車なんていらないよね~ ”というのも事実で、日本の人口の50%超が三大都市圏に住んでいることを考えれば、みんな車やバイクなんて買わないわけだ。でも、それはNeedsレベルの話であって、人間の欲求としてのWantsとは別の話。その昔、あれだけスーパーカーだって盛り上がったんだから、日本にモーターカルチャーが根付かないとは言い切れない。

 

欧米には消費者のWantsを盛り上げるコンテンツが盛りだくさん

Pittsburgh Vintage Grand Prix

ペンシルバニア州ピッツバーグで1983年から続くビンテージカーイベント。

 

別に全米を代表する都市でも何でもない街、 2010年の国勢調査で人口30万人程度で全米59位。豊島区よりちょっと多い程度(2005年に29.8万人) 。この規模の町で、こんなイベントを毎年普通にやっている。

イベントとしては、町の中にあるSchenley Park(イメージ的には代々木公園の距離感)に2,000台を超えるショーカー、150台のビンテージレーサーを集めての10日間イベント。年代クラス別にレースを開催して、実際に現場で見ていると、すごく白熱してる。母校であるピッツバーグ大学からも近いので、散歩がてら観戦が可能。こんな規模のイベントが30万人都市から徒歩圏内で開催されていること自体がカルチャー。

日本でも La Festa Mille Miglia とかやってるけど、これって極々一部の人達が大きな投資をしてやっているイベントであって、日本でこれに関われる人というのは極一部で決してカルチャーの醸成には貢献していない感あり。 

 

SANREMO RALLY STORICO

イタリアサンレモラリーのおそらくエキジビションだと思われるが、おそろしくクラッシックなワークスマシンがまじめに走っていて、街のお祭りとしても凄く魅力的。80年代のラリーマシンどころか70年代に活躍したランチャストラトスルノーA110アルピーヌまでをまじめに走らせてる。これは、そんな趣味の世界を支える産業が発達しているからこそ可能。 

 

日本のモーターカルチャーを阻害するもの

日本でのモーターカルチャーが根付きにくい要因は数々あると思うけど、ひとつには環境(人口密度や気候)が、モーターカルチャーの醸成を阻んでいる。人口の密集を考えると開催場所の確保や安全管理の問題はあるし、また日本の高温多湿の気候は工業製品のライフスパンを縮めてしまう。

そして最近話題になっている旧型車両の増税問題。2015年には車齢13年オーバーの車輛への増税となる見通し。

”コモディティvsブランド”でも書いたように、日本の工業製品って決して性能を詰め詰めで作っている訳ではないけど、そこそこの性能を長持ちさせるという意味では秀逸。

ましてや欧米と比べれば圧倒的に走行距離を重ねないと考えると、13年たっても下手な外車の5年目車輛よりも消耗はしていない(実体験ですね)。2012年に5年落ちで購入したアウディ、この3年で故障したのは日本車では考えられないスイッチ類やセンサー類ばかり。過去に何台も国産車は乗ったけど、すべて初体験のトラブルばかり。まあ好きで乗っているので仕方ないが、日本車の(コモディティとしての)クオリティは秀逸だな。

単に車齢で13年間で増税の対象というのは、古くなったものを排除して新しいものを買わせようという、いまだに能天気なバブル発想なんではないかと。

古いデータとはなるが、国交省年間平均走行距離は1万キロ前後で減少傾向にある。