ブランドマネージメント不在の日本の二輪メーカー
ホンダとヤマハ発が自動二輪事業で協業検討を発表、18年の販売開始めざす
業界的には画期的な話で、かつでHY戦争と言われるくらいに競ってきた2社が協業するのは、二輪業界の発展のためと歓迎する向きもある。
差別化のしにくい業務用バイクの世界で日本を代表する2社が共通プラットフォームを使っていくのはビジネス的には理にかなっている。
かつてはホンダのスーパーカブとヤマハのメイトが業務用原付の代表。シェアとしては圧倒的にホンダのカブの方が多かった訳だけど、2ストのメイトも面白かった。高校生の頃は自分でカブのエンジンを分解して色々と基礎を勉強したもんだ。
さて、その上位にある小型・中型二輪に目を向けて見るとどうだろう?
最近(というかもう10年くらい)日本のメーカーに感じているのは、20年以上前に台湾で見た日系(劣化)レプリカのバイクそのもの。いまでも台湾とかの東南アジアの国々では小型の二輪というのは生活者の重要な移動手段なわけだけど、当時の台湾では日本のレーサーレプリカのコピー品が現地メーカーで生産されていた。スタイルを見れば、世界に誇るプラスチック成型技術で最新のレーサーレプリカだったけど、中身といえば鉄フレームに空冷OHCのVツインの150cという旧態のプラットフォームに最新の皮を被せたもの。
そして同じ事が、現在の日本で起きている。
例えば、かつて車検不要な中型で売れ筋だった250ccクラスを見てみるとホンダの最新作はこちら
【新車】ホンダ、新型スポーツモデル「CBR250RR」を発表 2016年末にインドネシアで発売後、国内発売も!
確かにデザイン的にはカッコいい。でも中身を見てみると何の変哲もない直列2気筒のエンジン。別にマルチだから偉いって訳じゃないが、これってまったく20年前に台湾メーカーが作ってたものと同じアプローチじゃないか?ワクワク感が不在。
ちなみに80年代のホンダはどんなものを作っていたかというと;
1987年の発売されたものですら15000くらい回せるマルチだった訳で、なぜその30年後に発売される新型が何の変哲もないツインなのか?
同じような話は、ヤマハのFZ250PHAZERなんかは市販車で17000rpm近く回せるエンジンだったり、スズキはGSX-Rとか、同一(または近似)ブランドで30年前の方がイノベーティブだった事例に事欠かない。それらのプロダクトが30年たったいま、残っているのはブランド名だけであり、実際のプロダクトが形成するマーケットが存在しない。
各社同じようなブランドネームで今も新型を出しているけど、ほぼ皆んな劣化レプリカ。ブランドマネージメントの観点から見ると、過去に積み上げてきたブランドネームを劣化した新型に使うべきではない。
正直なところ、日本のメーカーはもう小型・中型の二輪を作る体力も気力もないのではないか?大型であればグローバル市場を視野に入れた開発もできるが、国内市場向けの製品は業務用くらいしか開発の余地はないのだろう。
時代が変わりもちろん、日本ではハイスペックな商品なんて求められないのかもしれない。でも今までに蓄積・醸成されたブランドは守るべき。