プロパガンダという名のマーケティング
安倍首相はプロパガンダの恰好の材料だった
歴史に名を刻んだ指導者の葬儀はプロパガンダのステージである。凄く残念な話だったけど、その後取り上げられもしないし、国会での野党からの追及も聞いてないし・・・。盛り上がってから書こうかと思って寝かしてあったが風化するまえに。
普段、国会中継で見慣れている国会議員の居眠り。日中の激務と毎晩の会食で疲れているのであろう。
しかし先日行われたシンガポールの父、リー・クアンユー元首相の葬儀。あれはマズイ。海外メディアにはうまく利用されてしまい、日本の信用はガタ落ち(まあその後の米国議会でのプレゼンで取り戻したかもしれないが)。どんな時代にも歴史に名を刻んだ指導者の葬儀には世界の注目が集まり、各国の民度を図ろうとするメディアがいる。
平成元年2月24日に新宿御苑で行われた大喪の礼。ここでも、CNNはバブル景気に浮かれる日本へのアンチキャンペーンを実施した。
海外放送局にバレバレのNHKのカメラワーク、それはプロパガンダのための絶好の材料であり、当時テレビを見ながら背筋が寒くなった。
普段なら平均的アメリカ人が絶対に興味を持たない日本の話。それでも太平洋戦争の主要因となったとされている昭和天皇の葬儀であれば、時間のある時にでもみておこうと。
そこでは、昭和天皇の霊前に向かう各国代表の弔問客の列。NHKのカメラには写っていない位置に天皇陛下の遺影があり、焼香に向かうであろう弔問客は、ある位置で一度立ち止まり、遺影に一礼をしてから焼香へ。
その場でのCNNのアンカーマンの解説。
- 韓国・中国の代表を紹介。他国の首相クラスと違い、次官級であることを強調
- 参列のある地点で、待機所があり、そこでは(カメラからは見えていない)陛下の遺影に向かって参列者がお辞儀をするのが習わしと紹介
- そしてカメラは、一礼をする弔問客を写す
ここで私自身も、”あれっ?”と思ったのは、韓国・中国代表の映像を見ていないこと。
すかさずCNNのアンカーマンは、”視聴者の皆さん、この映像は日本の国営放送に相当するNHKが提供しています。お気づきになったかもしれませんが、韓国・中国代表が天皇の遺影に一礼するタイミングでカメラは別の方向に振られていました。これは日本側が意図的に行ったものと思われます。”
これは完全に日本側の動きを読まれていたケース。おそらくNHKサイドとしては、韓国・中国代表が反日感情から礼をしないのではないか?という(不要な)配慮からカメラを外したと思われるが、これは外国の視聴者に伝わらない。むしろネガティブな印象しか与えない。
プロパガンダはマーケティングの一手法なのだ
さらに、一般米国民の興味の対象とならないであろう主要国以外の参列者がカメラ前を通過する間は葬儀とは無関係の映像を差し込んでいきます。
1.は定番の映像で、宣戦布告なしに攻撃を開始した日本の映像。これは多くのアメリカ人が過去に目にしている映像ではある。
2.は完全に日本がいかに舞い上がっているかを喧伝するための映像素材。時はバブル景気真っ只中、ホテルでの豪華結婚式に金箔張りのケーキ、成田空港でボージョレ―を開ける若者、タクシーを止めるのに札びらを切るやつなど、いかに日本人が拝金主義の嫌な奴らかに見せる演出。
ロックフェラーセンターを代表とする不動産や映画会社の買収などは、普段から見聞きしている話ではあるが、日本国内の好景気映像はアメリカ人の反日感情を煽るには最高の材料。
3. これは当時あった個人の預貯金を350万円まで非課税にする制度だけど、かなり刺激的な内容。
ビデオのイントロは、車の通行が全くない横断歩道を信号が変わるまで誰も渡らない日本人の足元から始まる。一般的に日本人は規則を守ると言われていることを強調。そこから市中銀行で口座をつくるCNNのレポーター。無事に銀行を出てくると、”ハンコ”を見せて、これがあれば公式な身分証明なしに口座が作れることを紹介。こうやって、多くの日本人は他人名義の口座を作って無限にマル優枠を増やしているという内容。
CNNのレポーターは、日本人は親戚や友人の名前でマル優制度を利用して脱税をするのが普通であり、金融機関もそれを容認しているという内容。
当時、世界に幅を利かせる日本叩きには絶好の場所であった。