メディア業界の生き残りをかけて
TechCrunch Japanから
惰性化マンネリ化した広告サーバ業界はもうすぐ死ぬとRubicon Projectが予言
今さらとは思うのだが、TechCrunch Japanで非常に興味深いエントリーがあった。
ここ何年もWebメディアの広告の売り方は変わっていない。メディアが提供している広告出稿メニューもあまり変わっていない。特に日本の場合は、単に広告スペースを販売する事が主流であり、広告掲載後のユーザーのトランズアクションの分析など、Webならではの利点を活かした広告メニューを提供しているメディアは少ない。
そして、いまだに多くの広告代理店はスペースブローカー的な役割しか果たしておらず、日本を代表するインタラクティブエージェンシーですら、大勢は広告枠のROIのみを指標にセールスをしているのが実状だ。
リーマンショック以来の不況により広告単価の下落は続いており、元々在庫の余っていたバナースペースは投げ売り状態である。このままでは、コンテンツメディア(パブリッシャー)は体力が持たない。
Rubicon Projectでは、まさにコンテンツメディアが何を必要としているかに対してのソリューションを導こうとしている。
現状では、広告代理店や広告配信業者等が、広告主の要求に応えるために、より多
くの在庫と効率的なターゲティング等を提供し、それを安価で提供する仕組みを提供している。
これ自身は正しい。しかし現状の販売方法が続けば、今後も広告単価の下落傾向は不可避であり、従来型の広告売上に依存するコンテンツメディアは利益を確保していくことが難しい。数年後には優良なコンテンツを提供する多くのメディア(パブリッシャー)がマーケットから撤退せざるを得ないだろう。
優良なコンテンツが無くなってしまったら、困るのは広告主なのだ。そして一番の被害者はユーザーなのである。今こそコンテンツメディア、広告代理店、広告配信業者のすべてが一丸となって、次世代のサービスを開発していかなくては、Google、Yahoo、Facebookといった新しいプラットフォーム企業には敵わないのだ。
これから考えて行くべきことは、コンテンツメディアが求める技術を、プラットフォーム企業以外でも独自に考えていくことではないだろうか?
Google、Yahoo、Facebookと言った、多くの技術者を抱える企業と技術で勝負をすることはメディア企業にとっては無謀な事だ。しかし自らのアイデンティティであるコンテンツの勝負であれば、メディアにも勝機はある。
このメディアの強みである、コンテンツを活かすための技術を、広告配信業者や広告代理店を含めて開発していくための取り組みが必須ではないかと思う。
何も、各社が個別に開発をする必要はない。むしろ、主流のメディア企業が協力しあってコンテンツメディア企業に相応しい技術を開発すれば良いのだ。広告の配信技術やコンテンツの配信技術を共同で開発し、各社で合同運用していけば良い。
もちろん、コンテンツメディアも変わらなくてはいけない。今までのように、あやふやなユーザープロファイル、水増しされたユニークユーザー数・ページビュー数、印刷メディアの販売部数はご法度である。すべては第三者による監査を受けなくてはいけない。
すべてのメディアが同じモノサシの上に立つことが出来れば、今までのようなドンブリで広告枠を売るような事は無くなる。コンテンツに応じた広告単価の設定も可能になるのである。
YahooやGoogleは敵ではない。彼らが提供する技術を利用するのも一つの手段である。
しかし彼らの作り上げていく世界には、広告代理店やメディア企業、広告配信業者の反映は無いのである。(→ ”ネット企業が創るメディア業界の未来”を参照)
広告配信業者は、もしかするとYahooやGoogleに買収してもらえるかもしれない。広告配信プラットフォームとして一世を風靡したダブルクリックは、いまやGoogleの傘下である。しかし、YahooやGoogleが広告代理店やコンテンツメディア企業を買収することはないだろう。